トポロジー絶縁体(1)

ワイル粒子の「安定性」については、「トポロジー絶縁体」と関係があるらしい。「トポロジー絶縁体」は、2006年に理論的に予言され、2008年に実験で存在が確認された、次のような存在。(物性の世界では、とても大きな話題だったらしいが、僕は、全く知らなかった。)
1枚目の写真は、bismuth tellurideの結晶構造。この物質は、内部は絶縁体だが、その「表面」だけが電気を通す。2枚目の写真は、bismuth tellurideの結晶が、平面上に並んでいるところ。この物質の「表面」原子一個分相当の厚みの部分だけが電気を通す。(原子分の厚みしか持たない炭素の二次元構造であるGrapheneと似ている。六角形のハニカム構造も同じである。)
この「薄さ」(それは、運動の方向が一次元分制限されるということ)が、奇妙な効果をもたらす。一般には、電子の運動方向と、電子の持つスピンは、独立である。トポロジー絶縁体では(というか、その「表面」部分では)、電子の運動方向によって、スピンの向きは完全に決まってしまうという。
二枚目の写真では、bismuth tellurideの結晶が、平面を埋め尽くしている様子を表しているのだが、そうでなくても、三枚目の図のように、一部に不純物が混じっていても、この表面は、全体として、通電体として振舞うという。(それが、マクロな「トポロジー」不変量に基づくというのが「トポロジー」という言葉の由来なのだが、その説明は、少し難しい。)
四枚目の図は、トポロジー絶縁体を使ったデバイスの概念図。絶縁体・通電体の界面のHall効果以上に、面白いことが起きている。反対方向に、同じ向きのスピンの流れが生まれる。(多分、これがワイル粒子)
"Topological Insulators" http://goo.gl/Xrnq4v
この現象の発見者の一人による解説記事。よくまとまっている。5年前のものだが、「質量を持たない電子」(=ワイル粒子)について触れている。ワイル粒子に対する関心は、この世界で一貫して追及されてきたようだ。
"Generation of spin current using topological insulators" http://goo.gl/94v6hO
先のデバイス図は、ここから。
数学的背景については、別ポストで。
(2015/07/25)





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