宇多田ヒカル Fantôme

9月に放送された「SONGS スペシャル 宇多田ヒカル」を見る。大晦日にも再放送されていたらしい。
大学で教えていた時、よくできる学生がいて、IT業界への就職を勧めたのだが、彼は頑として、公務員になりたいという。彼は子供の頃、宇多田の母、藤圭子がそうであったように、父に連れられて道内を「門付け」をして回っていたという。僕は説得を諦めた。というか、自分の「進路相談」の浅薄さを恥じた。
宇多田が音楽活動を停止した「人間活動」宣言の時、ある小説の主人公が、これからは「人間のことをする」(something like that)と言っていたことを思い出した。大江か村上の小説だと思うのだが、今回、手元に本がなくて確かめられなかった。
番組で主にコメントしていたのは、糸井重里と井上陽水だった。どちらも70近い爺さん(そういう僕も同世代だ)。コメントは、気が利いたものだったが、もっと若い世代が、宇多田の歌をどう感じているのか知りたい気もした。
ただ、宇多田のアルバムFantômeが、母 藤圭子に捧げられたものだとすると、母 藤圭子をよく知る「父」の世代が反応するのは、自然なことなのかも。
番組中で歌われた「ともだち」、親しい友人がカラオケでよく歌う中村中の「友達の詩」と同じテーマであること、初めて知る。Fantôme 聴いたはずなのだが、全く気がつかなかった。雑な聴き方をしていたんだな。反省。

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